年々増加の一途をたどる児童虐待は、見過ごすことのできない、現代社会の重要な問題です。
そして、ネグレクトをはじめとする被虐児には、特有の口腔内所見が見られます。
私たちは、決してその所見を見逃しません。
小児に起こりやすいむし歯として、ランパント・カリエスという疾患があります。汎発性う蝕とも呼ばれており、多数のむし歯が同時多発的に、一斉に進行する疾患です。
歯と歯ぐきの境目にむし歯による変色が起こり、歯はもちろん歯ぐきも弱り、食事がしっかりと噛めなくなってしまうこともあります。
歯科治療や予防ケア用品が発展した今ではほとんど起こることはありませんが、まれに小児患者に発症することがあり、間食を制限していない、歯みがきをしていないなど、虐待が疑われるケースがあります。
私たちは、歯科検診を通じて、児童虐待をいち早く発見できることに着目しました。
保健所・保育所などに歯科医師や歯科衛生士を派遣するとともに、公的機関との連携も視野に入れて展開していきます。